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対談記事
現代の日本における『剣道』の役割とは?

廣栄武道具 代表取締役 廣野美次×総合武道家 村田博典
【プロフィール】 廣野美次 廣栄武道具 代表取締役。 その他、 日本武道用品工業(協)理事長 (財)全日本剣道連盟医・科学委員 全日本武道協同組合 西日本会長 姫路商工会議所常議員 学校法人生野学園理事 などを務める。 村田博典 総合武家。 武道の総段位 175段(取得段位 日本一)。 その他、 村田流合気道総本部総師 村田流柔術空手道総本部総師 村田流護身杖術総本部総師 村田流武術合気拳法総本部総師 村田流護身術研究会総師 などを務める。

現代では、剣道はスポーツであるべきです。入り口が大きくなければ世界で広がらないですから。

社長
剣道はスポーツか否か。現代の考え方だと、剣道はスポーツになりますよね。以前、通産省や文部省の先生と話した時に「剣道はスポーツではなく、日本の伝統的な精神教育だ」と言ったんです。ところが「そんなことは世界で通用しない。だから剣道はスポーツだ」と言われたんですよ。
村田先生
私もスポーツだと思いますね。スポーツとしてでないと、世界に広げられないと思います。私がスポーツチャンバラを提案したのは、武道への入口を広くするためなんですよ。今は入りやすさが一番大事ですからね。これはどの武道にも言えることですけど、最初の入り口を大きくして入りやすくして、慣れたらちょっとずつ締めていくという形がいちばんいいと思います。長く続けるためにもね。
社長
今、先生がおっしゃったように、そのままの剣道は子供にとっては面白く感じない。ゴルフや野球で有名な人を尋ねるといろんな名前が出てくるけど、剣道は誰の名前も出てこないんですよ。剣道で日本一になったって、そんなに新聞やテレビには出ないですからね。そういう意味でも地味で面白くないんでしょう、今の子供には。

強くなることは優しくなること。剣道はそれを教える手段のひとつ。

村田先生
私は「強く・優しく・勇気ある人間の形成」という独自の理念を持っているんです。人間って、強くなると不思議と優しくなれるじゃないですか。人の痛みを分かるようになれば、手加減もできるようになる。今はね、いきなり大きい子に小さい子の相手をさせると、その子は小さい子を泣かせてしまうんですよ。
社長
手加減をしない、と(苦笑)。
村田先生
そうなんです、手加減せずやってしまう子が多いんです。だから、いつも同じレベルの相手じゃなくて、たまには差のある相手と組ませる。その時、大きい子には「やられてやれよ」というような形で教える。そういう意味では、武道というのは人の心の痛みを教えるには最適だと思います。
社長
確かに、今の子供は叩かれることや怪我をするということを教わらないし、親に殴られることがない。剣道で打つことを教えてても、それだけで親が大騒ぎをしたりする。僕が親の立場だったら、先生に「もっとやってください」って言うんですがね。
村田先生
それなんですよ、そう言える親が少なくなりましたね。子供に対して甘すぎる親が多いんです。だからこそ教育において、心の余裕を持つためにも武道は絶対必要ですよ。

豊かな心の育成のために、いまこそ、剣道が必要なのです。

社長
武道が今後どうなっていくかは分からないですが、子供たちが武道の心を学んでいける教育をして欲しい。そして、そういう武道であって欲しいと思います。
村田先生
そうですね。日本の武道は、どの武道も素晴らしいと思います。剣道は剣道で素晴らしいし、柔道は柔道で、空手は空手で素晴らしい。日本にはこれだけ沢山の誇れる武道があるということを、子供たちにも自覚して欲しいですね。
社長
ええ、武道は日本の文化といって過言ではない。礼に始まって礼に終わる、そんな心を大事にして欲しいですよね。それに、科学のあらゆるものがこれだけ進化した時代だから、今、人間としての心は武道でしか教えようがないと思うんですよ。
村田先生
……確かに! その心は武道でしか教えようがないです。他ではできないと思いますね。